介護福祉士国家試験に出てくる【傾聴】の主な技法について、まとめていました。
傾聴とはかんたんに言うと、
「充分に関心を向け、利用者の心の声に耳を澄ますこと。」です。
【傾聴】って話し聞けばいいんだよね?くらいに思ってました。
今回、ご説明したものは、介護福祉士国家試験対策で、かんたんにまとめているので、一部になりますが、それでも、これだけの事がわかると、
楽しいなって思えるようになります。
むしろ、楽しんでください。
「コミュニケーションの本質は楽しむこと。」だと思っています。
【傾聴】に関する出題について
出題基準
領域:人間と社会
科目:人間関係とコミュニケーション
大項目:2 コミュニケーションの基礎
中項目:3 コミュニケーションの技法
小項目:受容・共感・傾聴
【傾聴】キーワード出題回
第31回 | 問題28 |
第28回 | 問題33 |
第26回 | 問題39 |
傾聴というキーワードが出てきた回は上記の通りで、2~3年に一回は出てきています。
第31回に出てきているので、第32回に出てくる可能性に関してはなんとも言えませんが
【傾聴】の技法を活用して解く問題
第31回 | 問題3 |
第30回 | 問題29 問題31 |
第26回 | 問題37 |
第25回 | 問題4 |
と出題されています。
受容・共感・傾聴 という技法を用いて、コミュニケーションをとるという観点は問題を解く上でも、現場でもとても重要なので、しっかり頭に入れておきましょう。
現場で従事されている方には、当たり前のことかも知れませんが、改めて確認しておいてください。
傾聴とは?

前述しましたが、傾聴とは、
「充分に関心を向け、利用者の心の声に耳を澄ますこと。」
ですが、「傾聴しましょう」と研修や、現場でよく言われるます。
【傾聴】って具体的にどんなことをするんだろう?
主な技法

共感的理解
介護福祉士国家試験 第31回
問題28 介護福祉職が行う傾聴に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者が抱いている感情を推察する。
2 利用者が話す内容を介護福祉職の価値観で判断する。
3 対話の話題を介護福祉職の関心で展開する。
4 利用者が体験した客観的事実の把握を目的とする。
5 利用者が沈黙しないように対話する。
解答:1 利用者が抱いている感情を推察する。

「 利用者が抱いている感情を推察する。 」は
テキストを見てもこのように書いてあるものはあまりないと思います。
既存のテキストで言うところの
「共感的理解」の事をいっています。
ここのポイントは「推察」
「推察」って言葉、かんたんそうですが、調べてみると、意外と深い。
単純に推理するとかそれくらいの感じでとらえている方が多いかと思います。私はそうでしたが…
推察は
「推し量ること」と
「事情や他人の心情などを思いやること」
になります。急に温かみを感じませんか?
相手の気持ちを自分の心に寄せ、共に感じ、相手の見方を理解しようとすることが
「共感的理解」であり「事情や他人の心情などを思いやる」ことなんですね。
これがわかると、次の問題が解きやすくなります。
介護福祉士国家試験 第30回
問題 29 Kさん(75 歳,女性)は,脳梗塞(cerebral infarction)を発症して, 1 か月間入院した後,介護老人保健施設に入所した。
Kさんは重度の運動性失語症(motor aphasia)のため,自分から話すことはなかった。
入所して2 か月ほど過ぎた頃,Kさんは,少しずつ言葉が話せるようになった。
ある日の午後 2 時頃,介護福祉職に向かって,「お茶,いや,違う,お,お,違う, ええと」と話し始めたが,伝えたい言葉が見つからないようで,もどかしそうであった。
この時のKさんへの介護福祉職の言葉かけとして,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 「何を言いたいのでしょうか」
2 「もう 1 回繰り返してください」
3 「おやつの時間まで待ってください」
4 「何か飲みたいのですね。お水ですか?」
5 「言葉が出てきてよかったですね」
解答… 4 「何か飲みたいのですね。お水ですか?」

「事情や他人の心情などを思いやること」 をポイントにしておけば解きやすいのではないでしょうか?
「お茶」とおっしゃった時点で、喉が渇いていらっしゃるんだろうな?でも「お茶」じゃないなら何なんだろうな?と考えるわけですね。
具体的な背景はわかりませんが、ここでは、「お水」なのかな?とうかがったわけです。
普段からお水しか飲まない方だったのかもしれません。
喉がカラカラで、とにかくお水が飲みたいのかも知れません。
この介護福祉職の方はさまざまな事情や心情を思いやり、このようにうかがったのだろうと
この介護福祉職の方の感情を「推察」してみました。


受容的
こちらは、受容の記事で解説しますが、かんたんにいうと
「相手を評価したりせず、言動や言葉を、ありのままに受け止める。」
ことですね。
感情の反射
まずは、介護福祉士国家試験の過去問題を見てみましょう。
介護福祉士国家試験 第25回
問題4 Bさんの父親は認知症(dementia)があり、同じ話を繰り返す。Bさんが、「同じ話を毎日聞いて疲れる。疲れるのは父親のせいだ。つらいです」と介護職に話した。
このときの介護職の、感情の反射(reflection of feeling)を用いた返答として、適切なものを1つ選びなさい。
1 「どんなふうにつらいですか」
2 「つらい気持ちなのですね」
3 「うまくいっていないのですね」
4 「つらい気持ちは怒りみたいなものですね」
5 「あなたが話していることは、お父さんに対するつらさですね」
解答… 2 「つらい気持ちなのですね」

感情の反射とは、 相手が表した感情を反射して返すことでしたよね。
特に、感情の部分だけを繰り返すことを言います。
反射を行うことで、相手は自分の持っていた感情に気づくことができます。
持っていた感情に気づくことで、問題が明確になり、心の整理がしやすくなっていきます。
この問題では「感情の反射を用いた」と言っていますので、 2 「つらい気持ちなのですね」 になります。


繰り返し・言い換え
「繰り返し・言い換え」とは、
・繰り返し
相手が話した言葉を、そのまま繰り返す。
・言い換え
相手が話した言葉を、自分の言葉で表現する。
でした。
実際に介護福祉士国家試験の過去問題を例にしてみましょう。
「繰り返し」
介護福祉士国家試験 第26回
問題37〔事例〕Fさん(80歳、女性)は、2週間前に、りハビリテーション病院から介護老人保健施設に入所した。
脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症のため、構音障害と臓下障害がある。
また、よだれが流れて衣服が濡れてしまうことが多い。
食事は、とろみをつけた刻み食を1人で摂取できるが、むせることが多い。
介護職がFさんに、「何を食べたいですか」と尋ねると、「おいうをあえあい」(「お肉を食べたい」の意味)という不明瞭な発話が返ってきた。
Fさんが「おいうをあえあい」と話したときの介護職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1「正確に言い直してください」と促す。
2「おにく」と自分が聞き取れたとおりに繰り返す。
3「口の体操をしましょう」と促す。
4「よだれをふいてください」とタオルを渡す。
5「言いたいことをすべて書いてください」という。
解答…2 「おにく」と自分が聞き取れたとおりに繰り返す。

聞き取れた言葉を繰り返すことで、話しを聞いている姿勢を伝えることができ、さらには
Fさんが「話すこと」への意欲を引き出すことも期待できます。
「自分がうまくしゃべれない」と想像してみてください。
頑張って話してみてもうまく発言ができていないと感じたとしましょう。
このような対応をしてくれたら、
「わかってくれた」
と、うれしくなるし、もっと頑張ろうと思えるわけですよね。
ここで少し応用された問題を見てみましょう。
「言い換え」
介護福祉士国家試験 第26回
問題 4 B さん(85歳、女性)は、認知症(Dementia)がある。
ショートステイを 1週問利用することになった。
1日目の夕方、介護職が忙しい時間帯に、Bさんは何回も「私はここにいていいの」と繰り返し尋ねた。
介護職の最初の言葉かけとして、最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 「どこに行きたいのですか」
2 「後からゆっくり聞きますね」
3 「同じことを何度も聞かないでください」
4 「ここにいてくださっていいですよ」
5 「ここにじっとしていてください」
解答… 4 「ここにいてくださっていいですよ」

・繰り返し
相手が話した言葉を、そのまま繰り返す。
・言い換え
相手が話した言葉を、自分の言葉で表現する。
でしたが、そのまま繰り返すだけではなく
相手の不安も受け止めて、敬意を払い、存在を肯定していることを
自分の言葉で表現し、言い換えていると言えます。
記事の最後に
ここまででも、結構長くなってしまったので、傾聴に関しては、3回に分けてご説明します。
2回目はかかわりを示す基本動作【あいづち・うなずき】

【傾聴】ってこんなに楽しい②~基本動作・あいづち・うなずき編~介護福祉士国家試験対策「コミュニケーション技術」
3回目は【SOLER】について書いていきます。

【傾聴】ってこんなに楽しい③~基本動作・「SOLER」理論編~介護福祉士国家試験対策「コミュニケーション技術」
受容・共感・傾聴については、介護福祉士国家試験にかかわらず、現場でもとても重要というか、1番必要なところです。
この分野は、バイステックの7原則が非常に役に立ちます。

【バイステックの⑦原則】の理解が、問題を解きやすくする。介護福祉士国家試験対策「コミュニケーション技術」
ぜひ、ご参考になさってください。
AI、テクノロジーの発達が進む中で、この部分に関しては、人間である、私たちにしかできないスキルだと思っています。
今後も長く、介護の世界に携わろうとお考えであれば、ここにフォーカスしていくことを強くおすすめいたします。
と言ったものの、今では2次元の美少女や、Vtuberさんに心を惹かれる方もいますので、すごく長い目で見たら、この分野もテクノロジーにとって変わる時代がくるかも知れませんが…
とはいえ、そのような30年以上先になるような気がしますがね。
いろいろ言いましたが、技術、知識が高まれば、コミュニケーションはもっと楽しくなる。
でも、傾聴、コミュニケーションで一番大切なのは、じっくり関わることのできる、心と、時間の余裕。
今の現場では、自分の思うような関わりはできていない。
ただの理想にも思えてしまう。
それでいいのか?介護業界。
それでいいのか?自分は。
そして、自問自答しています。
「自分は何がしたい?何ができる?何をしている?」と。
みなさんも時間があったら考えてみてくださいね!
では最後に、記事中の過去問題に再挑戦してみましょう。
介護福祉士国家試験過去問題に再挑戦
介護福祉士国家試験 第31回
問題28 介護福祉職が行う傾聴に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者が抱いている感情を推察する。
2 利用者が話す内容を介護福祉職の価値観で判断する。
3 対話の話題を介護福祉職の関心で展開する。
4 利用者が体験した客観的事実の把握を目的とする。
5 利用者が沈黙しないように対話する。
解答:1 利用者が抱いている感情を推察する。
介護福祉士国家試験 第30回
問題 29 Kさん(75 歳,女性)は,脳梗塞(cerebral infarction)を発症して, 1 か月間入院した後,介護老人保健施設に入所した。
Kさんは重度の運動性失語症(motor aphasia)のため,自分から話すことはなかった。
入所して2 か月ほど過ぎた頃,Kさんは,少しずつ言葉が話せるようになった。
ある日の午後 2 時頃,介護福祉職に向かって,「お茶,いや,違う,お,お,違う, ええと」と話し始めたが,伝えたい言葉が見つからないようで,もどかしそうであった。
この時のKさんへの介護福祉職の言葉かけとして,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 「何を言いたいのでしょうか」
2 「もう 1 回繰り返してください」
3 「おやつの時間まで待ってください」
4 「何か飲みたいのですね。お水ですか?」
5 「言葉が出てきてよかったですね」
解答… 4 「何か飲みたいのですね。お水ですか?」


介護福祉士国家試験 第25回
問題4 Bさんの父親は認知症(dementia)があり、同じ話を繰り返す。Bさんが、「同じ話を毎日聞いて疲れる。疲れるのは父親のせいだ。つらいです」と介護職に話した。
このときの介護職の、感情の反射(reflection of feeling)を用いた返答として、適切なものを1つ選びなさい。
1 「どんなふうにつらいですか」
2 「つらい気持ちなのですね」
3 「うまくいっていないのですね」
4 「つらい気持ちは怒りみたいなものですね」
5 「あなたが話していることは、お父さんに対するつらさですね」
解答… 2 「つらい気持ちなのですね」
介護福祉士国家試験 第26回
問題37〔事例〕Fさん(80歳、女性)は、2週間前に、りハビリテーション病院から介護老人保健施設に入所した。
脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症のため、構音障害と臓下障害がある。
また、よだれが流れて衣服が濡れてしまうことが多い。
食事は、とろみをつけた刻み食を1人で摂取できるが、むせることが多い。
介護職がFさんに、「何を食べたいですか」と尋ねると、「おいうをあえあい」(「お肉を食べたい」の意味)という不明瞭な発話が返ってきた。
Fさんが「おいうをあえあい」と話したときの介護職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1「正確に言い直してください」と促す。
2「おにく」と自分が聞き取れたとおりに繰り返す。
3「口の体操をしましょう」と促す。
4「よだれをふいてください」とタオルを渡す。
5「言いたいことをすべて書いてください」という。
解答…2 「おにく」と自分が聞き取れたとおりに繰り返す。
介護福祉士国家試験 第26回
問題 4 B さん(85歳、女性)は、認知症(Dementia)がある。
ショートステイを 1週問利用することになった。
1日目の夕方、介護職が忙しい時間帯に、Bさんは何回も「私はここにいていいの」と繰り返し尋ねた。
介護職の最初の言葉かけとして、最も適切なものを 1つ選びなさい。
1 「どこに行きたいのですか」
2 「後からゆっくり聞きますね」
3 「同じことを何度も聞かないでください」
4 「ここにいてくださっていいですよ」
5 「ここにじっとしていてください」
解答… 4 「ここにいてくださっていいですよ」
試験本番ではないので
答えがわからなければ、すぐに答えをみてください。
考えてる時間が、本当にもったいないです。
何度も繰り返して、覚えられれば良いんです。
おすすめテキスト
法改正の部分は正直、独自に調べるのは難しい。
解りやすく、学びやすくしてくれています。
成美堂出版の回し者ではないのですが、本のタイトルで手に取るものが、たまたま成美堂出版の本で、うちには何冊もの成美堂さんがあります。
ずぼらの私には要点まとめとかかかれてしまうと、手に取ってしまいます(笑)
問題集や、過去問、やるときに、びしっとまとまってますし、オールカラーで、まあ、大きいですけど、その分見やすいので、参考書というか、図鑑みたいな感じですね。一冊あると便利です。
1~2年前の中古でも全然いいと思います。
みなさんおつかれさまでした。
最後までお読みいただき、いつもありがとうございます。
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